しきおりつづり

糸を組み合わせて布を作るように、文字を組み合わせて文を作る。しきおりつづり(織織綴)と申します。

死にたい者と生きたい者 『小人の巣』「小さな世界」

 

 しきおりつづりの織(しき)です。

 本日は、白河三兎さんの『小人の巣』について綴ります。

 

 今回の記事では、「死」そのものや、「しにたがり」について触れています。

 不快になる予感がする方、苦手な方、マイナスな感情に引っ張られてしまう方には、ブラウザバック推奨します。

 

 

 

 

 

 目次

 

 1.書籍紹介

 2.注意事項

 3.第1話 「小さな世界」 

  3-1.登場人物について

  3-2.共感した言葉

  3-3.反発した言葉

 4.おわりに

 

「注意事項」で詳しく書きますが、今回は目次から飛べないようにしております。

 

 

書籍紹介

 

タイトル:小人の巣

作家名:白河三兎

出版社:双葉社

出版日:2015年10月23日

本の形態:四六判

ISBN:9784575239249

Cコード:C0093

 

 小人の巣 白河 三兎(著) - 双葉社 | 版元ドットコム

https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784575239249

 

 作者さんのお名前、「しらかわ みと」さんと読むのですね。「兎」という漢字が印象的でしたが、読み方はわかっていませんでした。

 

 どこかで見かけたことのあるお名前だと思っていましたが、『プールの底に眠る*1』を以前読了していました。こちらがデビュー作だったのですね。表紙に惹かれて手に取った作品でした。

 

 

『小人』も『プール』も自殺について描いていますが、それについて書きたい作者さんなのですね。詳しくお話を伺ってみたいものです。

 

 

注意事項

 

 上記の通り、作中では「死」や「死にたがり」について語られています。そのことについて、「死にぞこないの死にたがり」である織が綴ります。

 いつもよりも少々強い口調になったり、乱れたりします。

 

 ご自分で不快になる可能性があると予想されます読者の方は、ここで画面を閉じていただきますよう、お願い申し上げます。

 

 目次から飛べないようにしたり、カテゴリを分けたりしているのも、マイナスなことを目にしたくない方がいらっしゃるであろうことを予想して行っております。

 

 ここから先に進んだ場合、マイナス感情への文句は一切受け付けませんのでご了承ください。

 

 ※以下、ネタバレあります。

 

 

 

 

第1話 「小さな世界」

 

登場人物について

 

 どういった内容なのか知らずに読み始めました。

 

 第一話に登場するのは主に3人。

 主人公の「沙菜(さな)」と、サイト「小人の巣」の主である「シャーマン」、そして沙菜の学校の先生「春日先生」。

 

明日死んでもいいと思っている私と、明日には死んでいるかもしれないシャーマン。表面的には、似ているようだけれど私は紛い物だ。

(9頁)

 

 この文章から、主人公である沙菜さんに少し親近感を抱きました。

 

 死にたがりにとって病人は気が引けてしまうもの。生きたくても生きられない人に、生きられる人間が生きたくないと主張するのは、申し訳なくなってしまうので。

 

明日死んでもいいと思っている私と、明日には死んでいるかもしれないシャーマン。表面的には、似ているようだけれど私は紛い物だ。

(9頁)

 

  同時に、羨ましくて仕方なくなります。自分が代わりにその病で亡くなることができたらいいのに、と思ってしまいます。あなたに命をあげたい。そんなことを言ったら怒られるとわかっていても、そっと、そう思ってしまいます。 

 

 自分よりも生きるべき人が亡くなることに耐えられない日々。

 

 自分で自分をあやめることができない苦痛。

 

 だからきっと私も、安楽死の方法を教えてくれる人が現れたら、どんなに怪しくても知りたい気持ちを抑えることはできないです。それで、例の事件のように殺されてしまっても……。怖くても。しぬことができるのならば。

 

「切りが悪いから、中に入って少し待ってて」と本から目を離さずに言う。

(7頁)

 

 初対面にも拘らず本から目を離さないシャーマンにも好感を抱きました。

 

「老若男女それぞれ悩みを抱えているもの。誰だって死にたい時がある。死んだ方が楽な人もいる。なら、苦しくない死に方を勧めるのも優しさじゃない?」

(24頁)

 

 春日先生のこの主張、好きです。こんなに肯定してくださる方がいるなんて、なんて、心強い……。

 

 でも結局、人を生きるようにする人だから……寂しいですね。どういう感情で言ったのか、気になります。先生も真剣に考えたことある人のはずなのに。

 

 医療に携わっている人々は気持ちの差はあれど、「人を生きさせたい」(日本語変でごめんなさい。)人たちなので仕方ないのかもしれないですけれど。そういう人たちからしたら、「しにたがり」なんて、許せない存在なのかもしれないですけれど。

 

 

共感した言葉

 

初対面は苦手だ。

(6頁) 

 

 そうね。私もそうです。

 沙菜さんは、ネットでなら本音で話せていたようです。私も。若者の特徴になりつつあるのでしょうか……。それはリアルでの交流が苦手なごく一部の人間だけでしょうか。

 

脳死後に医者に見られてもいいように可愛い下着をつけている

(11頁)

 

 女の子だなぁ(笑)

 見られるってわかっていたら、少しでもおしゃれなもの、とか、かわいいもの、を選びたくなってしまうのです。それが死んだ後で、自分にはわからないタイミングであっても。死んだことによって、その「可愛い下着」が汚れる可能性を考えないのが、なんともかわいいですね。

 

もう少し可愛いパンツを穿いた方がいい

(18頁)

 

 この言葉に素直に従った、というところもかわいい。

 沙菜さんは偉いです。

 

「沙菜がそう思っていなくても、向こうは心の中で沙菜のことを殺しているよ」

(15頁)

 

 自分も誰かの心の中で殺されているのでしょうね。

 

「本なんて読んでも役に立たない。本の中のことと現実とは大違いよ」

「本の中のことを知りもしないくせに。本は人類の叡智の結晶。ありとあらゆる喜怒哀楽が文字に凝縮されている。読むことで人々の営みを追体験できる」

(16頁)

 

「どうして本を読むの?」

「本のどこが面白いの?」

 

 等といった質問を受けることがあるけれど、これほどきっぱりと返すことができたら爽快なのに、と思います。

 私はまだ、自分の言葉でうまく答えることができません。

 

私の背は屋上から飛び降りるために伸びたんだ

(17頁)

 

 切ない。

 けれど、この言葉、好き。

 

この高さくらいじゃ、即死できないことも多いし

(18頁)

 

 情けないことに、しねないのは、痛いのが嫌だから。苦しみたくないから。

 即死や安楽死を望むのです。可能ならば。

 生きるのもしぬのも大変。どうしてどちらかは簡単にしてくれないのか。

 

『逃げていいんだ』って気付かされると、視野が広がった。

(37頁)

 

 逃げちゃダメだ、と押さえつけているものの正体は自分の感情だったりしますからね。「逃げてもいいんだよ」と言ってくださる人の多さに驚きました。

 

親よりも先に死ぬのって何よりも親不孝だと思う。

(50頁)

 

 それは私も思います。

 

 親より先に死ぬと親をも殺してしまうことになる、という内容の文章を読んで、太宰治さんの『斜陽』を好きになった人間ですから。

 

何をされても『自分にも悪いところがある』って受け入れちゃうし、逃げることにすら後ろめたい気持ちになる。

(52頁)

 

 私が悪いのです。

 私が悪いのです。

 私が悪いのです。

 

 周りの人は悪くないのです。

 

 そうやって自分を責めていたら、現在の自分の、このような思考になりました。

 

反発した言葉

 

負け組はずっと負け組。

(26頁)

 

 何故この言葉をメモしていたのか、あまり考えたくないですけれど……見返してダメージを受けました。自分自身にダメージを与えてどうする、自分。

 

「だって沙菜のことを『生きる価値がない』って思うまで追い詰めた人たちに、生きる価値はないでしょ?」

(27頁)

 

 やめて。

 少なくとも「私」は、「織」としては、“外”は攻撃したくないです。しぬのは自分だけでいい。

 

「考えなくちゃ出てこない言葉は言い訳に過ぎない」

(28頁)

 

 そうかもしれないですね。

 でも、みんながみんな、そんなすぐに言葉にできる人じゃないですよ。

 少なくとも私は頭がよくないので、時間がかかります。

 

ちゃんと怒りなよ。

(31頁)

 

 怒り方がわかりません。

 後から、「あ、自分怒っていたのか……」と感じることが多いです。特に、言葉が強い人が相手の場合。

 

 両親ともに『思いやりのある子に育ってほしい』と願った。その結果、人のことばかり気に掛ける引っ込み思案な性格になった。

(31頁) 

 

 思いやりがあるのはいいことではないの?

「優しい」は、価値がないの?

 

『生まれてこなければよかった』

(31頁)

 

 やめて。

 親は関係ない。

 生まれるのが自分以外の女の子であれば良かったと思ってしまうことはあるけれど。

 それは自分の問題。

 

 と、メモしている自分。

 でも、この言葉の通りに考えてしまったことがあるのは事実。

 

 私が何も主張できずに、何かあるとすぐに『自分なんかが』と卑下する子供になったのは、生きていることが申し訳なく感じる子供になったのは、全て

 

 私のせいだ。

 人のせいになんかしない。

 この考えをかためてしまったのは、私だ。

 

 このメモを書いている自分、勇ましいですね。

 

(35頁)

『自殺した方が楽かも』ってところまで追い詰められた。

(中略)

『ヤられる前にヤる』は正当防衛。

自分を殺していた

困難に立ち向かえなかった人間には、その先に希望はない。一度でも逃げ出したら、逃げ癖がついて死ぬまで負け犬。

 

『逃げるが勝ち』が通用するのは、逃げることで相手に対して優越感に浸れる場合だけ

(38頁)

 

(40頁)

弱さを言い訳にしてきた卑怯者だ。『自分は弱いから』と逃げ続けてきた。だから自分一人では何もすることができなかった。

(中略)

ピンチになっても誰かが助けてくれるのを待ち続けてばっかり。

「人に決定権を委ねるのは、負け犬の最たる特徴だ。(後略)」

 

 そろそろ吐いてもいいでしょうか。

 グサグサ刺さってしんどいです。

 強い言葉は好きじゃないなぁ。

 

相手に決定権を委ねてばかりいる私は、生きることを放棄しているのと同じだ。

 

 去年の今頃は放棄していました。

 生きたくなかった。

 

 そんなタイミングで、決められるわけがないですよね。

 って、これも、「弱さを言い訳」にしているのですけれど。

 

 

おわりに

 

 長くなりましたのでいったん切ります。

 

 今回は特に、他の記事以上に好き勝手に書いてしまったので、読みにくかったかもしれません。申し訳ございません。

 けれどどれも私の本心です。未熟な人間の一部分です。

 

 

 私はいじめられた記憶がない、ある意味しあわせな人間です。でも教室で孤独だった経験はあります。

 その時支えになったのが図書室でした。

 

 沙菜さんにも「本」があれば、違っていたのでしょうか。

 

 

 第2話についても書きます。そこで触れますが、3話以降については書きません。

 

 

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白河三兎『小人の巣』

 

 今回から書影は版元ドットコムさんのものをお借りしています。

(詳細はこちらをご覧ください。)

 

*1:

タイトル:プールの底に眠る

作家名:白河三兎

出版社:講談社

出版日:2013年4月12日

本の形態:講談社文庫

ISBN:9784062775021

Cコード:C0193

 

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